根本仏教講義
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21.損得勘定の智慧
(4)仏教の会計学
A・スマナサーラ長老

 前回は、仏教とは人生を勘定する学問、つまり「人生の会計学」であり、これを学ぶことによって私たちは財政的にも精神的にも豊かに生きることができる、というところまでお話し致しました。今回から具体的にその内容を学んでみましょう。概要は次のとおりです。
 
 一、何を勘定するか
 二、勘定の仕方
 三、正しい見積書と誤算
 四、損を避ける方法
 五、倒産しないための秘訣

一、 何を勘定するか

  勘定するといっても私たちは何を勘定すればよいのでしょうか。大きく分けると四つあります。

二、  勘定の仕方

  さて、何を勘定すればいいかということはこれでおわかりになったと思います。それから、もう一つ考えておかなければならないポイントがあります。皆さんはこの四つの項目の中で何を優先して生活していますか? お金ですか? 人づきあいですか? 情報・知識ですか? 道徳・真理ですか? どれも生きる上では必要なものですが、何を優先すべきか、何を優先すれば幸福になれるか、という優先順を知っておくことも大切です。

 それでは先ず、私たちが普段からやっている俗世間の優先順を見てみましょう。

得ること・与えること
 
 次に「勘定の仕方」について勉強してみましょう。これは次の五つのタイプに分けられます。

  1、得たから与える
  2、得るために与える
  3、得られるなら与える
  4、要らないから与える
  5、与える

 一番目の「得たから与える」というのは、人に何か貰ったからお返しします、という世間任せ的な生き方です。これは周りの人がいつでも自分のことを心配して、必要なものを与えてくれなければなりませんから、そういう人がいない社会では生活できないということになります。二番目の「得るために与える」というのは狡賢いでしょうし、三番目の「得られるなら与える」は態度が大きい。四番目の「要らないから与える」は、世界をゴミ箱のように思っているのです。

 そして五番目の「与える」だけというのは、賢者の世界です。賢者には「得たい」という気持ちがありません。「与える」ことしか考えていないのです。

 そこで、はじめの四つはどれも「自分が何かを貰いたい」という気持ちが先立っていることがおわかりになると思います。しかし「貰いたい」という目的だけで生きていると、数限りない苦しみが生まれ、不幸を招くことになります。ですからこれらの四つは良い方法だとは言えません。それから五番目の「与える」だけの生き方を、いきなりやりなさいと言われても、私たちはギブ・アンド・テイクの世界で生きているのですから、それは無理な話です。では仏教はどのような方法を薦めているのでしょうか。 

与えてから得る

 二番目の「得るために与える」を与えてから得るというやり方に改良するのです。つまり、人や社会から何か「得よう、貰おう」とするのではなく、先に自分から「与える」のです。これが間違いのない正しい方法なのです。

 (次号に続きます)

(スマナサーラ師講義より構成しました/文責;出村佳子)

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