「ブッダの智慧で答えます」(Q&A)
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【61】 おかあさんは不思議だ

 今回も前回につづき、小学校三年生の女の子からの9つの質問に答えていきましょう。質問のリストは下の通りです。
今月は5番目の質問です。

  1. 私は何のために生まれてきたのですか?
  2. 今何をすればいいのですか?
  3. 今はどんな生活をすればいいのですか?
  4. 今の人気があるのはなんでですか?
  5. お母さんがどんなに大切なのですか?
  6. なんで人は笑うんですか?
  7. なんで人は泣くんですか?
  8. お金はどんなものですか?
  9. 今何を勉強すればいいのですか?

Q: 5. おかあさんがどんなに大切なのですか?

A: 「おかあさん」は、この世で替えることの出来ないたった一人の人物です。我々のことを正直に、こころの底から心配してくれる唯一の人です。自分のことよりも子供のことを大事に考えてくれる。正直に応援してくれる。励ましてくれる。時々子供が大人になってから、母のことをいやになったり、喧嘩をして別れて独りで生活するようになったりしても、母のこころは変わりません。母は真剣に子供のことを心配する。「幸せでいてほしい」と日々願っているのです。親を殴る恐ろしい子供も、たまに、この世にいますね。オッパイをあげて、オムツを替えて、一生懸命育てた子供に殴られて怪我をしても、殺されかけても、母は心の中で、「どうか、この子は幸福で、真面目な人間になるように」と思うのです。どんな人にもこの大事な人がいます。誰にでもおかあさんが一人いることは、最高に幸福なことです。友達は、いやになったり、邪魔をしたり迷惑をかけたりするなら、つきあいを止めて他の人と友達になれば良いのです。しかしおかあさんは絶対替えられません。

なぜおかあさんは怒るのか
 子供のことをそんなに心配しているならば、なぜおかあさんはしょっちゅう怒ったりガミガミ言ったりするのですかねえ。それはおかあさんが自分の大切な仕事だと思ってやっているのです。誤解してはいけません。決しておかあさんは子供のことを怒っているわけでも、嫌になっているわけでもないのです。我々のことを心配している。私達の性格は私達自身よりもおかあさんが知っている。どんな苦労をしてでも子供を立派な人間として育て上げるのはおかあさんの仕事です。おかあさんは怒っているのではなく、自分の仕事を一生懸命やっているだけです。

 雷が落ちたように怒っていてもおかあさんのこころは全く違います。自分が死んででも子供を守りたいのです。母は子供が危険なことに逢わないように、必死で見張りをしているのです。この大事な母がいるからこそ、私達はわがまま放題で生きていられるのです。母は自分に命を与えた神さまで、何でも教えてくれる大先生で、苦しいときは一緒にいてくれる第一の友達です。間違いを直してくれる、世の中で恥をかかないで生活できるように指導してくれる先輩でもあります。ですからおかあさんがいくら怒っても誰も気にしないのです。母の怒った顔なんかは2,3秒で優しい笑顔に変わるものです。

しかしおかあさんはうるさすぎる、と思う
 「おかあさんは何でも知っていて、疲れない、力持ちだ」と子供たちは思っていますが、おかあさんも普通の人間です。一人の赤ちゃんを立派な大人にしてあげるという、この世で一番難しい仕事をまかされているのです。ですから、すごく心配する。まちがったか、まちがったかといつも独りで悩む。子供を叱っても、独りで、こころの中で泣くのです。

 赤ちゃんの育て方なんか教えてもらっている訳ではないのです。若い女の人は、初めて子供を産んでおかあさんになるのです。子育ての経験もなく、抱き方さえも、あまりわからないのです。誰も代わりに赤ちゃんを育ててくれるわけでもないのです。赤ちゃんも自分を産んだ母親以外の人は、それほど好きではないのです。そこで、何も知らないおかあさんが、一人で夜も寝ないで、がんばるのです。

 それでも、おかあさんは失敗しません。おかあさんには「愛情」というすごい味方がいるのです。愛情があるからがんばっているのです。愛情があるからそんなに失敗はしないのです。この世には、悪い人間はとても少ないでしょう。それより真面目に生きている人間の方がはるかに多いでしょう。それは世の中のおかあさんたちの成果です。

 しかし忘れてはいけません。おかあさんも普通の人間です。母も失敗する、間違いもある、誤解もする、疲れる、ストレスもたまる、たまにやってはいけないこともやってしまう。普通の人間だからしょうがないのです。子供はわがままで、おかあさんの弱いところは見ようとしないのです。何でも完璧にやってくれると思っているのです。それは無理な話です。おかあさんは完璧でなくても良い。たまに間違いをしてもいい。完璧な母よりは、ときどき失敗するおかあさんがかわいい。子供には、おかあさんの絶対的な愛情だけあれば充分だと思います。母親の失敗や、怒ることなど、気にしない方が正しいのです。母の失敗だったらいつも許してあげることは子供の責任です。完璧な母はいません。しかし、自分のことを絶対的に愛してくれる、心配してくれる人も母しかいません。母というのは一生感謝をしても足りない存在なのです。母だけではありません。父親も同じです。この二人は神様より大事にしなさいとお釈迦さまがおっしゃるのです。「おかあさんとおとうさんは完璧であってほしい」と子供たちはおかしなことを思っているから、時々おかあさんもおとうさんもうるさいと思うのです。

おかあさんに逆らうのは悪い?
 生まれてきた人間は皆自由です。何でもかんでも母が言うとうりにする必要はないのです。母は全てを知っているわけではありません。自分の生き方は自分で決めなくてはなりません。何をしても、母が賛成してくれるなら、必ず成功します。そう簡単に賛成してくれないときもあります。そのときは、泣きながらでも話し合ってみることですね。「私は反対ですが、やりたければ勝手にやりなさい」と言う場合もあります。それも本当は賛成ということです。そのとき「ありがとうございます」と言ってやってみると、成功すると思います。母は絶対的に大事ですが、子供は母の奴隷ではない、ということも覚えておきましょう。母は、子供が自分に適した人生を築くために、全面的に協力してくれる後援者なのです。

おとうさんはどこに行ったの?
 おかあさんがつきっきりで子供の面倒を見るからといって、子供たちがおとうさんのことをあまり気にしないのは良くないことです。おかあさんとおとうさんはワンセットで考えなくてはなりません。おとうさんもおかあさんに負けないほど、子供のことを心配するのです。おとうさんの応援がなければ、おかあさん一人では子育てはうまくいかないのです。

 今までおかあさんはどれほど大切かと長く書きましたが、その説明はおとうさんについても同じです。ですから、おとうさんとおかあさんはワンセットで考えて、大事にするのです。この二人は上手に協力し合って子育てをするのです。おかあさんが怒るとおとうさんは優しくしてくれる。おとうさんが怒るとおかあさんが慰めてくれる。おかあさんでは子供が手に負えないときは、おとうさんに任せる。おとうさんの言うことを聞かない場合は、おかあさんに任せる。子供が一人前になるまで、このように、この二人は互いに協力してがんばるのです。子供たちのこころに、おとうさんのことがそれほど大きく見えないことは悲しいです。生きる楽しみが半分に減るのです。世の中が明確に見えるように、人には目が二つあります。こころの中におかあさんもおとうさんも一緒に住んでいるならば、その人はたいへん幸福です。

大人にはおかあさんがいらないの?
 これは大きな問題です。大人になったら両親がいなくてもいいという態度で生活する大人は、優しい人間ではありません。恩知らずです。両親のことを忘れるならその分、大人の幸福も減っていくのです。親のありがたさは、自分が死ぬまでつづくものです。どんな大人もこれを忘れてはいけないのです。

 子供と違って大人は、親に甘えてはいけないのです。大人の仕事は、親の面倒を見ることです。親孝行をすることです。今月号の「根本仏教教義」に親孝行について詳しく説明してあります。親孝行をする大人は、信頼できる立派な人間です。

 仕事を探したり家族の世話で精一杯、田舎は遠い、お金の余裕がない、などと言って、親の面倒を見るのをさぼる大人もいます。その人々は、親のことで手を焼くと自分が損すると思っているようです。しかし真理は逆です。親の面倒を見ないと損するのです。親の面倒を見ない人は、幸福になろうと踏ん張っても、努力が割に合わない結果になるのです。自分の子育ても失敗するのです。

 仕事というのは難しいものです。競争も激しいものです。裏切りも、詐欺も、騙しも、多いのです。生きる戦いで誰でも疲れるのです。ストレスが溜まって、病気にもなるのです。このような時は、たとえ歳をとっても、親は、精神的な安らぎを与えてくれるのです。(次回につづく)

(皆さんからの質問を、スマナサーラ長老にお聞きしました)★質問歓迎!★

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