智慧の扉

2007年11月号

冥想はただ一つの道

アルボムッレ・スマナサーラ長老

初期仏教にも様々な冥想メソッドがあります。大切なのは、そのやり方を続けていて自分が成長しているか、心が清らかになっているか、智慧を開発しているかということです。仏教は歴史が古くて冥想法がたくさんあるといっても、実際は大して差がないのです。ただ、「何も知らない人にどこから教えるか?」に工夫をこらしているだけ。でも、みんなそこに引っかかってあれこれ迷ってしまう。

幼稚園では子どもに興味を持たせるため、いろんなお遊戯を用意して教えます。でも小学校にあがったら誰でもいっしょに同じ教科を学ぶのです。幼稚園レベルで迷っていて、その先どうするんでしょうか。子どもに合わせるのではなく、子どもを成長させるのが真の教育です。だから私たち出家は、解脱・悟りを目指すように修行させます。リラクゼーションとか癒しとか、ご機嫌取りはしません。メソッドの違いとは、真理への道にアクセスする瞬間の最初をどうするかという違いです。解脱のための冥想法はただ一つです。