智慧の扉

2011年2月号

冥想を始める前の自己チェック3項目

アルボムッレ・スマナサーラ長老

ヴィパッサナー冥想を始める前にしてほしい自己チェック があります。

一、人の話を聞いて理解する能力があるか ?
二、正直で、素直な人間か、人に自分を良く見せようとしていないか?
三、やると決めて始めた事をやり遂げるまで投げ出さない性格か? つまり熱しやすく冷めやすくではなく、やり遂げてから冷めろ、ということ。

この三つです。
 
残念ながら、このチェックをするとほとんどの人は失格になるのです。仏教に興味を持つくらいですから、皆さん理解能力はあるでしょう。投げ出さない性格も訓練して身につけた人は少なくないと思います。問題は二、なのです。

冥想会に来る人々は、指導者に褒めて欲しくて、他の人に「あの人は冥想している」と思われたくて、冥想を「演じて」しまうのです。これは建前と本音という人間社会に根ざした問題です。我々はたいてい本音を言わずに建前で生きています。社会ではお互いを信頼していない、いたわりあってないのです。

これは個人にはどうしようもないことです。いきなり個人が本音を言いふらしたら、社会から追い出されます。ですから、誰でも建前の自分を取り繕って生きているのです。そこで冥想する場合でも、誰かが見ていると、どうしても自分を飾ってしまう。そこで、私は「冥想は自分一人でこそこそやってください」とアドバイスするのです。
 
冥想する場合は、一人で自分の宿題として冥想してほしい。そうすれば本音と建前の問題が消えて、心はみるみる成長する場合があります。