智慧の扉

2016年10月号

こころの弱みを正反対に転換する

アルボムッレ・スマナサーラ長老

 自分に悪い性格、こころの弱みがあったとしても、まったく反対の性格に置き換えてしまうことができるのです。これはよく理解してほしいポイントです。
 
 人間の性格には、裏と表があります。仏教では、ものごとはいつでも相対的だと説きます。たとえば、何かモノを「長い」と言うためには、頭の中に「短い」という概念が存在しなければならないのです。「これは汚い」と言った途端、頭の中で「キレイ」という正反対の概念が生まれている。「うるさいなぁ」と言った人には、「静か」という概念が存在している。このように、頭にある概念はいつでも相対的なのです。

 生命の性格も同じことです。すべて相対的で、正反対のもののお蔭で成り立っています。ひとはエゴイスト・我がままで、残酷な性格を持っている。だからこそ、正反対のこころを育てる「慈悲の実践」が成り立つのです。

 怒りっぽい人が優しい人間になることも、欲張りな人が福祉活動をするような性格になることも可能です。私たちの悪い性格、こころの弱みで困っているなら、その反対に置き換えることに挑戦してみましょう。そのためには、ブッダのアドバイスが必要です。
 
 悪い性格を置き換える場合は、自分に想像もできないような、反対の性格を選んでください。怒りっぽい人なら、「すべての生命に優しい人間になってやる」と決めるのです。あがり症で緊張して何もできない、社会にも出られない人ならば、「世の中に出て大物になってやる」「人気者になってやる」という具合に、正反対の性格を選びましょう。そのほうが、心理的にやりやすいのです。
 
 なぜならば、その人のエゴが、正反対の性格を余計に気にしているからです。怒りっぽい人は、怒らないで明るくいることを、ものすごく気にしている。自分にはない性格に憧れているのです。あがり症になる人は、豊かな人間関係を築いている人のことを気にし過ぎているから、あがり症という反応を起こしてしまうのです。であるからこそ、自分の持っている性格の正反対である「人気者になる」ということにも挑戦できるのです。
 
 そのように「こころの法則」を客観的に理解すれば、悪い性格をその反対の良い性格に置き換えることも可能なのです。