智慧の扉

2006年7月号

「ブッダの見方」は人生の味方です

アルボムッレ・スマナサーラ長老

ブッダはなぜ偉大なのでしょうか?

初期仏教の国々では、子供のときから、「ブッダが偉大なのは輪廻を解脱したからだ」と、はっきり知っています。仏教が輪廻からの解脱を説く教えだと知っています。だからお勤めで誓願する場合も「輪廻を解脱できますように」と誓願するのです。「いい転生ができますように」と誓願する人はいません。

しかし、個々人に「解脱するために頑張っているの?」と聞いたら、「いいえ違いますよ」と言うでしょう。頭が混乱するでしょうねぇ。

私の友人に、タイ女性と結婚している方がいます。奥さんは貧しい中でもお金が出来るとお寺にお布施して熱心にお祈りしているそうです。彼が、「そんな熱心に何を祈っているの?」と聞いたら、「生きとし生けるものが幸せでありますように」と奥さんは答えた。そこで彼は、「妻の言うことはさっぱり分からない」と私に質問したのです。

私はそのとき、何も答えませんでした。初期仏教の世界では「そんなの当たり前でしょう」という話になりますから。しかし奥さんの情熱はさすがたいしたものだなぁ、と思いました。決してお金持ちでもないのに、いつでもお布施して、「生きとし生けるものが幸せでありますように」と皆の心配をしている。それだけでも腐りかけた生命の中で、確かに光り輝いているでしょう。でもブッダの教えを知らない俗世間の思考では、そこまでは決して読み取れないのです。

私は答えませんでしたが、それからタイ人の奥さんは、仏教徒として彼のことをゆっくり教育してくれました。

身体や家や財産には、重点を置かないのが仏教です。仏教徒なら一貫して、「俗世間の価値からの解脱」という見方を持って生きています。俗世間の価値を重視しないから、執着しないから、楽に生きられるのです。何があっても冷静でいられます。ブッダの教えが、いつでも人々を守っているのです。 それを理解すれば、全人類のなかで輝く人になるのです。

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