智慧の扉

2006年12月号

無常と笑いと才能の関係

アルボムッレ・スマナサーラ長老

残念なことに、日本はマンネリ人間でないと立場がない社会です。この事実は我々が個人的に頑張ってもどうすることもできません。ただ、私から見て歯がゆいのは、日本人は一発で仕事を成功させることに慣れていないこと。百回繰り返さないと結果が出ない、出してはいけないと思い込んでいるように見えることです。三十分でできることに三時間かけるのだから、当然コストがかさんで何でも高くなります。最終的には立派にできても、それでは評価できませんね。ストレスだらけで必死になって、しかも結果はよくないのだから…。そういうポイントを直せば、日本はホントに豊かになると思います。

皆さんもご自分の仕事だけは、短時間で失敗のないようにやってみれば如何でしょうか?

みんな自分にはそんな才能はないと思って悩んでいます。でも仏教の立場から言えば、才能というのは特別なものではありません。ブッダの無常論を知るならば、即ちそれが才能なのです。無常を理解して、「同じことは二度と起こらない」という気持ちで生きていれば、脳細胞はビシビシと動くのです。例えば、「毎日同じ我が家に戻るぞ」と思ったら、それはとんでもない間違いです。毎日、同じ家に戻るなんて無常という真理からはあり得ないのです。そうやってとことん、無常を理解して生きてみることです。

それから、脳を動かすためには、いつでも明るくて、楽しくいなければいけません。みんな苦しんで、悔しがって、競争心に燃えて、腹を立てて、ライバル意識で生きているでしょう。脳内でアドレナリンばかり作っていますが、アドレナリンは身体にすごく毒です。いつも明るく笑える人間なら、アドレナリンいらずで落ち着いて生きていられます。

笑うといっても、他人を嗤うのはダメですよ。自分の抱えている仕事や人間関係や様々な問題にちょっとした冗談のポイントを見つけて、自分を笑っちゃうのがクールなのです。脳から落ち着きのホルモンを出すためには、笑うことが一番です。それからホントに才能を身につけたければ、「無常であること」を徹底的に理解して、心から納得することです。それでみるみる才能が現れてくるのです。

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