智慧の扉

2007年12月号

体験への執着を絶つ

アルボムッレ・スマナサーラ長老

冥想中に突然、深い安らぎを経験することがあります。もう一度体験しようとしても、本人は因果法則のプロセスを知らないから叶わない。「もう一度、もう一度」と、体験に執着して苦しむはめになります。

冥想する人が体験する深い安らぎとは何でしょうか? それは、心が執着から離れることで得られる「楽」なのです。執着から離れると、人ははじめて、心から笑えるようになる。それくらいの「楽」です。

冥想中に、心が執着から離れるとき、3つのパターンがあります。①一時的に離れてまた戻る。②しっかり長い時間、離れられる。③執着は二度と現れずに消える。ブッダが推薦されるのは③です。ヴィパッサナーの修行者は、自分の体験が①から③のどれかと確認することで心の成長をチェックして、怠ることなく修行に励むのです。

体験に執着してしまうと苦しいだけです。冥想も先に進みません。「そんなことがあった」で終了して、どこまでも心を前進させなければいけないのです。ブッダが推薦したように、一切への執着から完全に離れようと励むことです。

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