智慧の扉

2009年11月号

怒る前に気づく

アルボムッレ・スマナサーラ長老

人間はよく怒ってしまいます。たとえばヴィパッサナー修行をしている最中でも、いつのまにか怒りの思考が回転しているようなことはしょっちゅうです。また、後から考えると、「あのときは怒りで行動していたな……」と反省することもよくあります。この問題にどう対処すればいいでしょうか。

答えはいたってシンプル。「早く気づくこと」です。気づくことが遅れて、「いまのは怒りだった」ではもう手遅れです。そこで、実況中継をどんどん訓練して、とことん早く気づくようにするのです。たとえば、階段を上がろうと思ったら、足がつまづいたとする。普通はその瞬間で、イラッと怒ってしまいます。そうなる前に、「いま怒るところだ」と実況するのです。いま怒るところだと実況したとたん、もう怒りが出てこなくなるのです。ですから、できるだけ早く気づくことがポイントです。

実況中継をしても、最初はけっこう時間がたってから気づくものです。それは、まだ慣れてないだけの話ですから、気にしないでください。繰り返し、真剣に実況中継をやってみると、「いま怒るところだ」とわかるのです。ほんの小さな、微妙なところですが、「このケースでは怒らずに済んだ」ということになる。

これが怒りにとらわれないための、「怒る前に気づく」方法です。これが巧くなると、人格的にしっかりした人間に成長します。修行はもう、かなり安全なところまで進んで、「怒らない人生」を送れるようになります。ぜひ挑戦してみてください。 

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