智慧の扉

2009年12月号

マインドコントロールを破る

アルボムッレ・スマナサーラ長老

ブッダの特色は慈しみです。人類のみならず一切生命の幸福を願う気持ちで、ブッダは真理・本当のことを発見されたのです。だから仏教は「宗教」ではないのです。宗教とは、証拠のない前提から始まる一種の妄想体系です。人間を束縛し、支配し、脅すことしか考えていない代物です。世界中の聖書類には、人間が幸福に生きるためのアドバイスはないのです。人間は宗教を捨てて徹底的に現実的にならないかぎり、頭がおかしいままです。

人々は仏教を難しいと思っていますが、難しくないのです。仏教は、なぜ私たちに悩み苦しみがあるかと調べ、それを解決する方法を教えています。死後、天国に行く話などしないのです。だって、もし天国がなかったらどうするのでしょうか? 人間は、「いま・ここ」で真理を発見して幸福にならないといけないのです。sandiṭṭhiko 目の当たりに、akāliko いますぐ、結果を出してみせるのが仏法の特色であり、そうでなければ「仏教」とは言えないのです。

それでも、なぜ人間が仏教を学んで心を解放しないかといえば、いにしえから宗教を初めとする妄想体系にマインドコントロールされ、心を抑えられているからです。自由に物事を考える能力を奪われているのです。他人の話を聞いても、自分を束縛する妄想のフィルターを通して聞くことしかできない。事実を直視するならば、私たちには「思考の自由」などないのです。

だから、仏教を学ぶ人は「自分の思考」も信用しません。私たちが心の自由、一切の束縛からの解放を目指すために不可欠な訓練とは、ブッダの冥想法なのです。

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